武蔵小杉校卒業生Rくんのフィールドワークを3回にわたって連載しております。
Rくんは、今年、武蔵小杉校を卒業、一橋大・社会学部に進学しましたが、普段からフィールドワークなどが好きでこのようなレポートを書いていたとのこと。
今回は、地元「鷺沼」についての第3弾・完結編です!
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鷺沼の激しい起伏によって、線路の高さを変えずに、約200メートルという短い間隔で立体交差をつくりだすことが可能となった。つまり、このトンネルと高架は土地の起伏が繰り返すことで生じる高低差を利用した、自然の立体交差として役割を果たしているのである。このような特徴的な地形が東急電鉄の踏切をつくらないという理念に則していたことによって、鷺沼に田園都市線が敷かれることとなり、宅地化が進んだと考えられる。
*** 地盤の強さ ***
地盤が強いことは地震の多い日本にとっては重要なことである。地盤が緩いと地震が起きた際、地割れや液状化現象が起きたりする。したがって地盤の強さは「住」の観点では非常に重要視される点である。台地の上にある鷺沼の土地の歴史は古く、数万年以上前から海中ではなく地上に現れていた土地である。形成された年代が古ければそれだけいっそう地盤は硬くなり、年代が浅いとそれだけいっそう地盤は緩くなる。
また、一般に台地は標高が高いので水分が抜けていき、土壌は硬くなる。したがって、この地域の土地の地盤はしっかりしている。さらに一帯は丘陵地であり、平坦な土地が少なく、水はけも良いので、水田にはあまり向いた土地ではなく、水田は基本的に平地である低地の地域内を流れる有馬川沿いにしかつくられなかった。かつて水田のあった土地の地盤は土の粒子間のすき間が大きくなり、緩くなってしまう傾向があり、地盤沈下や液状化を引き起こすことが多いが、この地域は水田が少なかったので、有馬川沿いの低地を除いたほかの土地は地盤が硬い。つまり、この地域の多くは地盤が強いために住宅地に適していると思われる。
*** 最後に、鷺沼について ***
散々と小難しく語ってきたが、まとめると、鷺沼という土地は住むのに最適な土地である。鷺沼について考えたこと、語りたいことはまだまだあるが、キリがないのでやめておこう。それにしても、もう少し人気が出ても良い場所だとは思うのだが、この地味さ、良く言えば隠れ家的な雰囲気もまた、鷺沼の良さだと私は思う。いずれにしても、この記事を読んで、少しでも鷺沼に興味を抱いてくれたなら嬉しい限りです。(了)